2012年5月24日取材
パークシティ武蔵小杉ザ グランドウィングタワー (三井不動産レジデンシャル、三井都市開発)
インプレッション1——立地の魅力について
「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウィングタワー」は、神奈川県川崎市の武蔵小杉に建設される超高層タワーマンションだ。
全506戸と大規模なのだが、5月に行われた第1期分譲で300戸も売ってしまった。
これほど売れ行きがよいと、「価格が安いから」と思いがち。ところが、第1期の分譲価格は、60m2台の2LDKで5500万円台といったところなので、決して安いわけではない。むしろこれまでの事例よりも高いのではないかとさえ思える。
それでも売れたということは、立地と建物がそれほど魅力的だった、ということだろう。
今、首都圏全域を見渡して、「武蔵小杉」ほど人気が高い場所はない。なぜ、それほど人気があるのか。理由は3つあると考えられる。
一つは広範囲の再開発が行われている新しい街であること。
二つ目は、再開発の途中であるため、まだまだ発展する余地があること。つまり、将来性が高い。実際、現在の武蔵小杉は、マンションこそ多いが商業施設は寂しい状況にある。商業施設が次々にオープンするのはこれから。まだ伸びしろが残されているため、住宅の価格もまだ上がる余地がある……そう考える人が多いために、購入者が絶えないのだろう。
三つ目の理由は、都心へのアクセスがよいこと。まるで、交通の要所のように鉄道路線が武蔵小杉に集中している。東急東横線「武蔵小杉」では東京メトロ南北線も利用可能。湘南新宿ラインと横須賀線を利用できるJR「武蔵小杉」駅、それとは離れたところにJR南武線「武蔵小杉」駅がある。3駅9路線を利用できるのだから、目的地によって使い分けが可能だ。
昨今の日本では、ダイヤの乱れが頻繁に発生する。人身事故によって電車が止まったとき、代替えの路線がなければ、運転再開を待つしかない。そして、運転を再開した直後の電車の混雑にも耐えるしかない。
しかし、複数の路線があれば、待つのではなく、積極的に打って出ることが可能。電車に振り回されることなく、交通手段選択の自由がある場所、それが武蔵小杉というわけだ。
インプレッション2——建物の魅力について
人気エリア「武蔵小杉」のなかでも、パークシティ武蔵小杉ザ グランドウィングタワーが建設されるのは、ピカイチの場所だ。武蔵小杉南口駅前再開発エリアの一画で、東急東横線・南北線「武蔵小杉」駅から徒歩1分。駅からペデストリアンデッキで結ばれたマンションでもある。
再開発エリア内で駅から徒歩1分で商業施設を併設……これに加えて注目したいのは隣接する駅前広場だ。東急東横線・南北線「武蔵小杉」駅には、従来、駅前広場と呼べる空間がなかった。広場がありバスロータリーになっていたのは、JR南武線「武蔵小杉」駅のほうだ。
ところが、南口駅前再開発によって、同マンションの隣接地に駅前広場が新設され、バスロータリーも設けられる。その結果、この場所が新しい「武蔵小杉の駅前」になる可能性が高い。この新しい「駅前」に建つマンションになるわけで、販売センターにはそのことを示す模型も置かれている。
地震に対する強さも備えている。
まず、地盤が固い。東京都庁やみなとみらいのランドマークタワーと同じ土丹層(どたんそう)の上に建設されている。そして、同マンションでは、「複層防災プログラム」という考え方を採用している。これは、建物の構造を強固にし、災害への備えを充実させる、さらに助け合う体制づくりも行うなど、二重、三重の備えがされるものだ。
ひとつひとつの中身も濃い。たとえば、非常用電源は約1万リットルもの燃料を蓄えて稼働する。私が知る限り、これまでで最高の備蓄量だ。十分な燃料により、エレベーター3基を約72時間動かすことができ、共用廊下や住戸内の非常灯が点灯。住戸内で上水道が止まらないし、排水設備も動くのでトイレを使うことも可能になる。水の蓄えも多く、「災害時も3日間(72時間)マンション内で生活できる」ことを目指した対策が用意される。
最後に特筆したいのは、建物のデザインがよいこと。同マンションは地上38階地下2階の超高層タワー。その頭頂部には翼をイメージしたデザインが施され、夜は照明によって浮き上がる意匠となる。遠くから見ても「あれは、ザ グランドウィングタワー」とわかりやすい。
これは、重要なポイントである。
近年、首都圏では超高層マンションが増え、単に背が高いだけでは目立たなくなった。背が高く、遠目にもそれとわかる外観デザインを施したマンションが目立つ。目立てば住人は誇らしい気持ちになるはず。中古で売りに出すときも、認知されやすくなる。
認知されやすいように、外壁のデザインも凝っている。外壁のタイルは細かく色分けがされ、鳥が飛び立つときのキラキラした印象を表現している。
工事現場にとっては面倒な仕事となるが、細かなところも決して手を抜かないというデベロッパーの姿勢を示すことができるだろう。
建物には将来の更新性が高いS.I工法を採用し、柱の出っ張りや下がり天井も少ない。ディスポーザーやタンクレストイレなど住戸内設備も充実している。
ただし、このマンションではゆったりした広さは求めにくい。前述したとおり、60m2そこそこの2LDKで5500万円台という広さと価格だから、3LDKを買いたいが、手が出ないという人も多いはずだ。
2LDKでも少し背伸びして買うことになるのではないか。
しかし、誰でも家を買うときは多少なりとも背伸びするものである。背伸びしてでも欲しいマンション……そう思う人が多いから、第1期で300戸も売れてしまったのかもしれない。