2014年2月1日取材
ザ・パークハウス上鷺宮 (三菱地所レジデンス)
インプレッション1——極めて希少な「23区内」「低層」「大規模」マンション

マンションを選ぶとき、便利な超都心や駅前の立地を好む人がいる。一方で、都心や駅に近い便利さも重要だが、静かさや緑の多さなど住環境も大事にしたいという人もいる。前者に好まれるのが超高層マンションだとしたら、後者に好まれるのは低層マンション。どんなマンションを理想とするか、と尋ねたときの回答は、この「超高層派」と「低層派」に分けられる気がする。

かくいう私は、じつは「低層派」。もちろん“超都心超高層”のよさも認めているが、本能的には低層マンションに憧れ、実際、最初に買ったマンションも低層である。その経験、そして30年に及ぶ取材経験から申し上げると、「低層マンションは数が少ない」し、私がこれぞと思う物件はさらに限られる。1年間、いや10年間に1物件でるかどうか……それくらい希少だというのが、私の取材感だ。

では、私がこれぞ、と思うのはどんな物件か、その条件を挙げよう。

まず、便利な都心部で駅に近い場所にあること。

地上3階・4階建ての低層マンションは、郊外で駅から徒歩10分以上の閑静な住宅地内に建設されることが多い。私が最初に買ったのも、横浜市内で駅から徒歩13分という物件だった。その分、住環境は良かったが、都心への通勤は正直苦労した。もっと都心部で、しかも駅に近い場所にあればよいのに、とつくづく思ったものである。が、その条件を満たす物件、例えば「23区内で駅から徒歩5分以内」の低層マンションは滅多に出ないのだ。

さらに、低層マンションで戸数規模が大きいことも理想要因となる。23区内で分譲される低層マンションは、総戸数が50戸以下の小規模が中心で、多くても100戸規模。そのように戸数規模が小さいと、庭が狭かったり、共用施設が少ないという不満が生じやすい。その点、総戸数が200戸を超えるようなマンションであれば、共用施設やサービスが充実し、居住満足度が向上する。

ところが、「23区内」、「駅から徒歩5分以内」で「総戸数が200戸を超える」低層マンションを探そうとすると、どうなるか。わずか3つの条件なのだが、それを満たす物件は恐ろしく少ない。「10年に1物件でるかどうか」と書いたが、じつは30年に及ぶ取材経験を通して1物件も思い浮かばない。

もしかしたら、これは私が出会う最初で最後の事例かもしれない。

中野区内で、西武池袋線「富士見台」駅から徒歩4分に建設され、全261戸となる「ザ・パークハウス上鷺宮」である。

インプレッション2——「第一種低層住居専用地域」の住みよさに注目

低層マンションは、低層しか建設できない場所に計画される。

例えば、10階建ての建物を建設できる場所に3階建て、4階建ての低層マンションを建設すると、土地の能力を十分に活用しない物件となる。つまり、土地の有効活用ができず、無駄遣いとなる。無駄遣いした結果、1戸あたりの分譲価格を高くせざるを得なくなる。すると、売れない。だから、10階建てが建設できる場所では、10階建てを建設してなるべく分譲価格を抑えようとするのが、不動産の経済原理というものだ。

では、経済原理から見て、低層マンションを建設できる場所はどんな場所か。 ズバリ「第一種低層住居専用地域」である。「一低層(いっていそう)と略されることもあるこの用途地域は、建ぺい率、容積率の比率が小さく、建物の高さも10mとか12mまでと制限される。敷地にゆとりを持たせ、背の低い建物しか建設できないわけだ。

第一種低層住居専用地域は、13ある用途地域のなかで最も条件が厳しい。その分、静かで落ち着いた住環境が実現しやすいため、一戸建ての邸宅街に適した場所とされる。

この第一種低層住居専用地域で大きな土地が入手できないと、低層マンションは成立しない。ただし、第一種低層住居専用地域であれば、どこでも、低層マンションの適正地となるわけではない。

第一種低層住居専用地域は建ぺい率と容積率、高さ制限が厳しいと書いたが、じつはその厳しさは何段階かある。建ぺい率50%で容積率100%、建物の高さが12mまでなら、制限が緩やかなほう。それぞれの数字が厳しくなればなるほど、低層マンションは建設しにくくなる。その分、住環境はよくなるのだが……。

じつは、そこにも「ザ・パークハウス上鷺宮」の注目点がある。

同マンションの建設地は、建ぺい率40%、容積率80%、高さ制限は10mまでとなっているのだ。第一種低層住居専用地域のなかでも、条件が厳しい場所といえる。23区内で同様に「40・80」の場所を思い浮かべると、田園調布や成城の邸宅街が思い浮かぶ。実際、現地周辺を歩いてみると、大型の一戸建て住宅が多く、緑も豊富。マンションの敷地東側には桜並木があり、さくら通りの名前がつけられていた。まさに閑静で落ち着いている。マンションよりも建売の邸宅街をつくったほうがいいのでは、とさえ思った。

そんな条件の厳しい場所に、「これまでにない低層マンションをつくりたい」、それも街とよべるくらい大規模なレジデンスを、という高い志で生み出されたのが「ザ・パークハウス上鷺宮」。超高層マンションよりもはるかに希少性の高いマンションなのである。

インプレッション3——全体プラン、建物にも心血が注がれている

「ザ・パークハウス上鷺宮」の建設地は、西武池袋線「富士見台」駅から徒歩4分、同線「中村橋」駅から徒歩9分。両駅からは東京メトロ有楽町線・副都心線も利用でき、「池袋」まで「富士見台」から直通12分なので都心部へのアクセスがよい。2駅周辺にはスーパーマーケットが複数あり、マンション建設地周辺に各種クリニックも豊富。最寄りの中野区立上鷺宮小学校まで住宅地内の安全な道で約300m……生活利便性を高める要素が多い。建設地は標高40mの武蔵野台地上にあり、地盤が強固。杭打ちをしない直接基礎で、十分な地耐力が得られる。災害にも強いマンションとなるわけだ。

さらに、注目されるのは、マンションの敷地南側の隣接地に警察の駐在所が所在している点。駐在所が目の前にあるマンションでわるいことを企てる輩はいないのではないか。それも、「ザ・パークハウス上鷺宮」の希少な特徴といえるだろう。

敷地は約1万8000m2もの広さがあり、地上3階地下1階の建物、住戸プランにも工夫が凝らされる。

特に注目されるのは、低層マンションでありながら、共用施設が充実している点。きれいな整形の敷地にグランドエントランスと二つのサブエントランスを備え、グランドエントランスは天然石で仕上げられた外壁とホテルのような屋根付きの車寄せが印象的。内部に入ると、天然石・タイルで囲まれたグランドエントランスがあり、レセプションルーム、コンシェルジュデスクを抜けて階段を降りると3層吹き抜けのライブラリーラウンジがある。前面ガラス張りの窓からはパティオのようなプライベートガーデンを望むことができる……これまで日本に誕生した低層マンションで、ここまで贅をこらした共用部を私は知らない。設計を担当した三菱地所設計の「これまでにない低層マンションをつくりたい」という意気込みの強さを感じる部分だ。

建物のデザインも秀逸である。

外装にはタイルを多く採用し、木調の格子が縦の線を強調。モダンなテイストで、嫌みなく高級感を感じさせる。

セキュリティラインに囲まれ、部外者が立ち入ることができない中庭(プライベートガーデン)を持ち、敷地南側にはパブリックガーデンと遊歩道を備える。これらオープンスペースには約2400本もの樹木が配され、緑に囲まれた暮らしを実現。オープンスペースの設計は、株式会社ランドスケープデザインが、緑化計画は株式会社住友林業緑化が手がける。一流スタッフの知恵と経験が活かされた外構も、同マンションの特徴といえるだろう。

インプレッション4——ありきたりではない住戸プランと設備仕様

全261戸は62.75m2〜108.00m2の2LDK〜4LDK。70m2台、80m2台のファミリータイプが中心となり、下がり天井が少ない構法により、室内の有効面積が大きい。バルコニーの奥行きが2mあるなど、ゆとりある設計になっているのも特筆すべきだろう。

住戸タイプは80を超え、大型ルーフバルコニー付きや、玄関前にサイクルポート(2台収納)を備えた住戸など個性派もそろっている。共用廊下と居室の間に吹き抜けを設けることでプライバシー性を高め、室内に風を通しやすくするプランも目立つ。

さらに、注目されるのは、地下1階に設けられた「ハナレ」付き住戸だ。「ハナレ」は「離れ」の意味で、住戸の外、広いテラスを歩いた先に設置されるもう一つの部屋を指す。さらに、テラス付きの住戸は、テラスの面積 が大きく、隣戸との間を頑丈な扉・壁で仕切っているためプライベート性が高い点も注目された。この「ハナレ」とテラスは、マンションの常識を覆す斬新なアイデアとして人気を集めそうだ。

キッチンにディスポーザーと食器洗い乾燥機を標準設置し、キッチンの天板は天然の御影石。ちなみに、システムキッチンと別に食器棚が標準設置されるのだが、食器棚のカウンターも同じ御影石だ。

洗面台も天然の御影石カウンターで陶器製の洗面ボウルが付く。浴室にはミストサウナが標準設置されるなど、設備仕様の高さも同マンションの魅力の一つだ。

「ザ・パークハウス上鷺宮」は、「23区内」「駅から徒歩4分」で「全261戸となる大規模」の低層マンション。その希少性に恥じぬよう、全体計画、建物、各住戸プランにも心血が注がれたマンションだと評価される。